「…何か飲みます?」
「あ、お構いなく」

「コーヒーでいいスか?」
「あ、はい」

だから何で俺は敬語なんだ。
そう自分にツッコミを入れつつ、適当にテーブル前の床に座る。

勝手知ったる浜田の部屋だけど、泉君がいる手前、下手な事出来ねぇ。
テレビでもつけようか、持ってきた雑誌でも見ようかと思考を巡らせていると、すぐに湯気だったコーヒーが運ばれてきた。

「出来るの早いな」
「ちょうど、お湯沸かしてたんで。ミルクとかは?」

「じゃあ、ミルクだけ…」
「あぁ、はい。…本当、ちょうどいいッスね」

「何が?」
「アイツ、砂糖買いに行ったんスよ。俺は砂糖ないと飲めないんで」

あぁ、なるほどな。
ミルクをコーヒーに流し入れつつ、泉君の表情を見ると、かすかに目が笑ってる気がした。やっぱり、浜田の話すると違うのかな。

スプーンでかき混ぜてる間、泉君の視線が俺の持ってきた袋に向いているのに気が付く。
言葉数は少ないけど、目が大きいせいなのか…何を考えてるのか分かりやすいな。

チラッと中を見せながら「雑誌だけど、見る?」と言えば、「見ます」と即答され、すぐ手が伸びてきた。
ファッション誌、ゲーム雑誌、アイドル誌の中から、迷わずゲーム雑誌を選んでベッドに寝転がった。

ダボダボのスウェットのせいなのか、寝転がった拍子に膝下まで素肌が見えてしまい、何となく視線を逸らす。
いや、変な意味じゃなく、何か見ちゃいけないような気がしてさ。

やけに綺麗な脛だったな…とか思いつつ、コーヒーを飲みながら俺も雑誌を開く。
泉君も雑誌に夢中になってるみたいだし、特に会話はしなくてもいいよな。

持ってきて良かった、マジで。

 


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