※性表現があります、注意!
■阿三ver.
誰もいない部室。
あべ君から「昼休みに部室で」っていう短いメールが届いたので、待ってるんだけど…遅いなぁ。
キスしてくれるかな…と期待して食べていたガムの味がなくなってきて、包み紙に吐き出した所で、ドアが勢いよく開いた。
「わりぃ、遅れた!」
「う、ううん! 待ってない、よ!」
あべ君は忙しい人だから、待ったりするのはいつもの事だし…待ってる時間も、全然苦痛じゃない。
むしろ、ちょっとでも時間作ってくれるのが、嬉しいって思うんだ。
「はぁ、ちょっと花井に捕まって…」
よいしょ、って椅子に座りながら、ため息をついてる。花井君も、あべ君頼ってるんだよね。仲良しでいいなぁ。
「…で、三橋」
「はい?」
「ここ、座って」
「? え、そこ…です、か?」
ポンと叩いた場所は、あべ君の膝の上。
そこに座るのは好きだけど…今の時間に座るのは、危ないような気がする…?
「ほら、早く」
戸惑ってると、グイッと引っ張られて座らされる。重くないかな、と思って少し腰を浮かせるんだけど、すぐに見破られて「ちゃんと座れ」って言われちゃった。
うう…嬉しいけど、恥ずかしいよ…!
「そんなに警戒しなくても、最後までなんてしねーって」
しかも、心配事まで見透かされてる。
あべ君って、本当に何でも分かっちゃうんだなぁ…。
「最初から、今日はここを重点的にって決めてきたんだ」
ここ、って指した所は、俺の胸元。
え?って思ったのも束の間、シャツのボタンを躊躇する事無く外されていく。
恥ずかしくなって身を縮こませてると、あべ君がふっと笑ってキスしてくれた。
あやす様に、優しく、何度も。頭はぼんやりしてきて、体からは力が抜けていく。
あべ君のキスって、何でこんなに心地いいんだろう。
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