「え、せんぱ…」
「うっせーな、大地のくせに！」
「えっ、何スかそれ！」
「お、お前ばっかり不安だと思うなよ！」
…ん？
今、先輩は何て…？
「俺だってなぁ、いろいろ考えてんだよ！ 何だよ、自分ばっか不幸みてーな言い方しやがって！」
ぎゃんぎゃんと騒ぎ出す先輩が珍しくて、驚いてつい呆けてたら、ピシッと頭を叩かれた。
「イテッ！」
「世の中なぁ、お前みたいに前だけ向いて走れる奴ばっかりじゃねーんだよ！」
「えぇ…？」
「好きだから好きだって言えるのは、当たり前じゃねーの！ それを、お前はズケズケと…」
真っ赤だった頬が、だんだんピンク色になってきた。
ただ単に、落ち着いてきただけなのかもしれないんだけど…頼りなげに目線を彷徨わせる先輩に、ついドキドキしてしまう。
「…あの、先輩？」
「何だよ？」
「それって、先輩も俺の事好きって事でいいんスか？」
「…はぁ？」
「一応の確認を…」
「…しなくたって分かんだろーが！ 今の流れで！」
怒りながらも、俺の質問に肯定してくれた。
その事が信じられないくらい嬉しくて、抱きしめる腕に力を込める。
何だ、先輩も俺の事想ってくれてたんだ。
そう思ったら、この熱情のはけ口が欲しくなってきて…少しだけ体を離して、至近距離で先輩を見つめてみる。
照れくさいのか、先輩は俯いたまんまだけど…今の雰囲気が、俺の望んでいた甘いものになっているわけで。
今なら、いけるかもしれないって思った。
[＊prev] [next＃]
3/6
【目次・SR・TOP】