「先輩…」
「なに?」

「ちょっとすいません!」
「は? …うわあ!」

斜め向かいに座っていた先輩に近寄り、ガバッと抱きしめてみた。
ワンテンポ遅れて、案の定先輩が腕の中でジタバタと暴れだしたんだけど…離してなんかやるもんか。

「何すんだっ、バカ大地っ!」

先輩の非難はシカトして、しばらく無言で抱きしめたままでいると…疲れたのか無駄だと判断したのか、先輩がおとなしくなる。

「…先輩?」
「な、何だよ…」

強張った声で返事されて、少しだけ罪悪感を感じた。
すぐ後ろにはベッドがあるし、もしかしたら警戒されてるのかもしれない。

もちろん、そういう事もいずれは…って思ってるけど、今俺がしたいのはそういう事じゃなくて…!

「あの…」
「だ、だから何だよ!」

「聞きたい事があるんですけど…」
「は? な、何を…」

「先輩って、本当に俺の事好きですか?」
「……はぁ?」

だって、未だにラブラブな事なんて何1つしてないじゃないスか。
たまーにこうやってくっついてみる事もあるけど、先輩はいつも警戒するように体から力抜かしてくんないし、それ以上先に進ませないような感じがするんスもん。

告白したのも俺からだったし、もしかしたら大好きなのは俺だけなんじゃないか…って思うじゃないスか。

「何か、不安なんスよ…」

全部を先輩にぶちまけ、先輩の様子を伺うと…予想外に、耳まで真っ赤になっていた。

…あれ?
照れるような事言ったっけ? 


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