こないだは
栄口が不幸になってたけど。
まさか、すぐに俺まで
不幸になっちまうとは。
●●にゃんにゃん体験記●●●
俺は泉孝介、15歳。
野球部に所属してる高校1年生だ。
1年9組、出席番号は2番。
ちなみに1番は浅田というヤツだ。いや、そんなことはどうでもいい。
なぜ俺が急に自己紹介を始めたのかって?
そんなことは簡単だろう。
俺がテンパっているからだ。
いや、普段の俺は、ちょっとやそっとじゃ混乱しない。モモカンの変な薬の餌食になった時ぐらいだ。
そう、今まさにその状態だ。
今俺が居る場所は裏庭だ。
なぜそこに俺がいたのかってーと、こないだ掃除の時間に田島たちと見つけた野良猫の様子を見に着たんだ。
いずれ学校側にも猫の存在はバレるだろうが、それまでの間…と、田島と三橋、浜田で内緒に飼っていた。
俺はどっちかっつーと犬派なんだけど、三橋と田島が嬉々として猫の世話を焼いている。
まぁ、飼ってるっつっても、たまにメシ持ってくるぐらいで、いついなくなってもいいと思ってたぐらいだ。俺はな。
で、今日は俺が点検っつーか、様子を見に行く当番だった。
いつもは朝練の後にこっそり田島たちと見に行くんだが、今日はなかったから俺だけで見に来ていて…。
俺は何もしてない。
適当な小皿にミルクを入れて、キャットフードを置いた。
それだけだ。
ちなみに、キャットフードは田島ん家から少し拝借している。もちろん内密にだけどな。
今までの状況の整理は完璧だ。
何も落ち度はないし、モモカンの薬のせいだとはとても思えない。
だって俺は何も口にしていないし、周りに誰もいない。
なのに、どうして。
どうして俺の体が、
猫になっちまってるんだ…?
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