***


チャイムが鳴り、1時間目の授業が終りを告げる。2時間目か…俺んとこは確か化学だったな。

てこてこと校庭を歩く。
チョウチョが目の前でひらひらと舞って、たんぽぽに留まった。

それをなんとなく見ていたら、後ろから「あーっ!」とデカイ声が聞こえた。
うるせぇな、と思って振り向けば、そこには見慣れた顔が3つ。

「ねぇねぇ、猫だよ!」
「見りゃ分かんだろ、クソレ」
「野良猫かぁ?」

水谷、阿部、花井がまじまじと俺のことを見てきやがる。
体育だったのか。…いや、違う。今はそんなこと考えてる場合じゃない。

(逃げないと!)

こいつらに万が一正体がバレたらたまったもんじゃない。
特に阿部にはバレないようにしなければ…!(…)

逃げようと思ったのも束の間、戸惑ってる間に水谷がひょいっと俺のことを抱きかかえやがった。
何でこいつこんな手馴れてんだよ…!

「うわ、可愛いねぇ〜v」
「三橋のが可愛いだろ」
「比べるのおかしくね?」

水谷がごろごろと俺の喉元を撫でてきやがる。

ちょ、やめろって!
何かしんないけどめっちゃ気持ちいい…!
まさか水谷に触られて気持ちよくなるなんて…!(アホか)

「ごろごろ言ってるよv 気持ちいーい?
「変態だな、クソレは」
「そっちに結びつくお前のが重症だ」

相変わらず花井のツッコミは的確だな。感心してる場合じゃないけど。
こいつら、体育サボって猫と戯れてるんじゃねーよ!(お前が言うな)


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