「何で料理?」
「料理って場数じゃん。洗濯とか掃除は適当でもいいんだけどさ、料理ってそうはいかないだろ?」
「んー、そうだね。で?」
「で、って?」
「何で料理が出来るようになりたいの?」
「…出来ないからに決まってんだろ」
拗ねたように言う泉が、何だか可愛い。
っても、全然出来ないってワケじゃなかっただったけどなぁ。キャベツの千切りとかも、ちゃんと出来てたし。
「浜田さんのため?」
「…言うなよ。絶対言うなよ」
「はいはい、分かってますー」
「…言ったら水谷殺すからな」
何か怖いことが聞こえたけど、あえてスルーしていろいろ聞いちゃった。
まとめると、いつも世話になってるから、たまにはお返しがしたいってことで。
でも、物を上げるのは何か違うと思ったから、料理にしたらしい。
「西広たちにも教わったの?」
「ああ。聞いたら、二人とも中学の時に、家庭科が5だって言ってたから」
「あー、そういや俺もだったなー」
「家庭科が5だったのが3人だけだったからさ。俺は万年3だったし」
「へぇー…」
「西広ん家でハンバーグ教わって、沖ん家で鮭のムニエル教わった。で、今日はしょうが焼きだな」
「何かバランスいいねv」
「何故かなv」
網戸にしてある窓から、少しの風が入ってきて風鈴がちりーん…と静かに鳴った。
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