「何で料理?」
「料理って場数じゃん。洗濯とか掃除は適当でもいいんだけどさ、料理ってそうはいかないだろ?」

「んー、そうだね。で?」
「で、って?」

「何で料理が出来るようになりたいの?」
「…出来ないからに決まってんだろ」

拗ねたように言う泉が、何だか可愛い。
っても、全然出来ないってワケじゃなかっただったけどなぁ。キャベツの千切りとかも、ちゃんと出来てたし。

「浜田さんのため?」
「…言うなよ。絶対言うなよ」

「はいはい、分かってますー」
「…言ったら水谷殺すからな」

何か怖いことが聞こえたけど、あえてスルーしていろいろ聞いちゃった。

まとめると、いつも世話になってるから、たまにはお返しがしたいってことで。
でも、物を上げるのは何か違うと思ったから、料理にしたらしい。

「西広たちにも教わったの?」
「ああ。聞いたら、二人とも中学の時に、家庭科が5だって言ってたから」

「あー、そういや俺もだったなー」
「家庭科が5だったのが3人だけだったからさ。俺は万年3だったし」

「へぇー…」
「西広ん家でハンバーグ教わって、沖ん家で鮭のムニエル教わった。で、今日はしょうが焼きだな」

「何かバランスいいねv」
「何故かなv」

網戸にしてある窓から、少しの風が入ってきて風鈴がちりーん…と静かに鳴った。


[*prev] [next#]

6/8


目次SRTOP





「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -