テレビでも見ようかなってリモコン持った時、ふいに携帯から音楽が流れた。
着信設定してるこの曲は、水谷が好きだと言ってたモノで。
メールじゃなくて電話だったから、急いで携帯に持ち替えた。
『あ、もしもしー? おれーv』
「どちらのオレさんですか?v」
『栄口のコイビトのオレでーすv』
「ばぁーかv で、どうしたの?」
何かあったの、と言えば、泉がいるかどうか聞かれた。
今は弟とお風呂だよ、と答えれば、けたけたと笑ってる。
『浮気の心配の電話でしたーv』
「何言ってんのv ていうか、水谷知ってたの?」
『知ってるに決まってるじゃん! だって泉から頼まれたんだもん』
「えっ、何を?」
聞けば、どうやら事前に泉に言われてたみたい。『栄口のこと1日貸してくれ』って。
…そういえば、いつも早く終わると水谷から寄り道に誘われてたけど、今日はなかったなぁ。
『何作ったのー?』
「今日はしょうが焼きだよ。泉も手伝ってくれてさぁ」
『だろうねー。その為に行ったんでしょ?』
「その為って何?」
水谷は泉の思惑に気づいてるんだ。
そう思って聞き返した所で、泉たちがお風呂から上がってきた。
「あー、また水谷と電話してるー!」
「ちょっ、違うって!」
「いっつも電話してんのー?」
「そうだよ、携帯持ってニヤニヤしてんだー!」
「してねーって!」
「ラブラブだなーv」
慌ててブチッと電話を切って釈明するけど、全然聞いてくれない。
後で水谷にメールで謝っておこう、と思いながら、今度は3人でゲームしたり宿題したりする間に、あっという間に10時半になってしまった。
眠そうな弟と別れて、俺たちも布団出したりして寝る支度をする。
明日は朝練もあるし、早く寝ないとな、って。
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