* * *


すぐに動く気にはなれずに、そのまま座っていたものの、この脱ぎ散らかってる制服をどうにかしようと思った。

これじゃ、ここで人間が蒸発したとか、そういうミステリー的なモノを感じてしまう。
うん、ヤバイ。

ダンボールの裏にある木の影に、頭で無理やり押しやった。
土で汚くなったが、まぁそれは洗濯すればいいハナシだ。

同じく鞄もぐいぐいと押しやるけど、重くてなかなか動かない。
休み休み鞄をズズズ…と木の陰に追いやることに成功した後、疲れてごろんと寝転がった。

チチチと鳥の鳴き声が聞こえ、無性に狩猟本能が目覚めそうだったが、あえて気づかないフリしてスルーした。←

「何でこんなことに…」

ころんと寝返りを打って、大の字に寝てみる。いつも見上げてる空なのに、今日はいつもよりもっと遠い気がした。

今日は晴れて良かったな…と変に和んだ後、また状況を整理しようと試みる。


あの猫がやったことだ。
元に戻るのも、きっとあの猫次第だろう。

練習が始まる前に寄る時には、あの猫は毎日ここにいた。てことは、遅くても夕方には猫が戻ってくるだろう。
それまで待ってればいいだけの話だ、うん。

そう結論付けたら、フッと気が楽になった。
何も一生猫なわけじゃない。
そうさ、そうに違いない。

でも、ただ待ってるだけじゃ飽きるだろうし…と、俺も散歩に出ることにした。っても、すぐに戻ってこれるように、校内限定で。

四つの足で歩くのは意外とスムーズだった。普通に二足歩行できるぐらい。
さすが俺の順応性。(…)


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