「黒はイヤだったぁ?」
「色の問題じゃねぇよ! いや、ごめん。分かった。もう満足したから、元に戻してくれ」
「え〜、もう?」
「ああ。これから授業なんだ、遅刻するだろ?」
「ジュギョウってなぁに?」
「あ〜、えっと〜…勉強することだ」
「ベンキョウって?」
「あああ〜、もう〜…!」
どう説明したらいいのか分からずに頭を抱えているのに対し、猫はふふふと笑ってやがる。笑ってる場合じゃねーっつーの…!
「ぼく、ちょっと遊びに行って来るねぇ」
「え? ちょ、ちょっと…!」
猫はぴょこんとジャンプし、そのままタタタと走っていなくなってしまった。
すぐに追いかけようとしたものの、未だ制服の中にいたせいか、纏わり付いてうまく脱出できない。
やっとこ抜け出した時には、猫の姿なんてどこにも見当たらなかった。
「ウソだろ…」
絶望と後悔で
打ちひしがれてる俺の耳に、
朝のチャイムが聞こえてきた―――
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