いやいや、おかしいだろ。
常識的に考えて。


猫がミルク飲んでるのを見ただけだ。ちょっと頭とか撫でたけどさ。
そしたら、急に眩暈がして、目を閉じたんだ。次に目を開けたら、制服が目の前に散らばっていて。
あれっと思ったら、俺は猫になっていた。

どれぐらい呆然としていたかは分からないけど、目の前の猫の鳴き声で我に帰った。
そしてなぜか、ニャアとしか聞こえないはずのそれに、普通に日本語で話しかけられた。

「あれ、どうしたの?」
「…ど、どうしたの、じゃねぇよ! 何だよコレ!?

取り乱して言う俺とは正反対に、あくまでのんびりとした姿勢を崩さない。ふわああとアクビをした後、ぱちんとウインクしてきた。

「親切にしてくれたお礼だよ?」
「…は? お礼?」

「そう。『猫になりたい』って思ったでしょ?」
「は? え、俺が?」

「うん。聞こえたもん。だから、猫になったの」
「……聞こえたって、…え?」

待て待て。何かがおかしい。
俺は何も喋ってなかっただろ?

なのに、何でさっきふと心で思った『猫になってみたい』の声が、こいつに聞こえてんだ?

ていうか、俺は本当に猫になりたいって思ったわけじゃない。
猫みたいにのんびりするのもいいな、って思っただけなのに…!


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