「あの、先輩も…」
「え? …あぁ、そうか」
先輩も抱きしめてほしいってのを伝えると、ギシギシッて感じで腕が回ってきた。
何だか、本当にロボットみたいでおかしくなってくる。
「あの、もうちょっと強く…」
「ち、注文が多い奴だな…」
緊張してるのか、上擦った声で文句を言われる。
それでも、ちゃんと力を込めて抱き返してくれた。
「…も、死んでもいいッス」
このまま離したくない。
くっついた所から、好きだって気持ちが膨れていくみたいで。
ずっと、くっついたまま過ごせていけたら、どんなにいいか。
無言で抱きしめつつ『常に先輩とくっつけたとしたら』っていう妄想をしていたら、先輩がもぞもぞと動いてる。
そろそろ離れたいのかもしれない…けど。
でも、もうちょっと。
あと、もうちょっとだけ。
そう思ってたら、いつの間にか夕焼けが終わって、空の色は群青色へと変わっていた。
***
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