「す、巣山は…?」

もじもじしながら、でも不安そうに聞いてくる。
俺の気持ちなんて、とっくに決まってるのに。

「…好きだ、…沖が好きだよ」

嬉しくて少しニヤついてたかもしれない。俺の答えに、沖はあからさまにホッしていた。
小さく微笑まれて、俺の心が嘘みたいに軽くなる。

「あ、あの。じゃあ…」
「ん…?」

「その…おれと、お付き合いしてくれますか…?」
「え? …はは、うん。先に言われたな」

ふわふわのくせっ毛を撫でると、まるで泣いてるように照れて恥ずかしがってる。
…その可愛い表情は、わざとやってんじゃないだろうな。

「…よろしくな、沖」
「う、うん。こちらこそ…」

ポッと頬を染めながら、俯きがちに笑った。
この流れに乗って、どさくさに紛れて抱きしめてみた。想いが繋がった今、許してくれるんじゃねーかって思って。

俺の抱擁に少し驚いてたみたいだけど、受け入れてくれたようで…抱き返してくれた。
それだけなのに、こんなに嬉しいなんて。

水谷たちがいつもくっついてる気持ちが、分かったような気がする。
…あそこまでは、いきたくないけど。

無言で抱きしめ合ったまま、動けずにいた。
いや、動きたくないって言い方が正しいかもしれない。

さっきまでの積極的な沖ほどではないが、遠慮がちではあるけど擦り寄ってきて…ドキドキが止まらない。

俺も同じように深くしてみれば、沖もドキドキしてくれるだろうか。


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