「おだー、おだー…」
「はいはい、何や?」

叶が散らかした部屋のモノを片付けつつ、適当に返事をする。
その俺の態度が気に食わなかったのか、叶が足で布団を蹴り上げ、またぶんぶんと言いながら転げまわり始めた。

「おっだおだおっだおだ・ぶんぶん・ぶーん!」

「わ、分かったから、もう静かにしてや! 俺もぶんぶんすればええねやろ!?」

あんまり騒ぐと周りから苦情がくる。
そんで寮の管理人なんて呼ばれたら、もう絶体絶命や!

それを恐れた俺は、叶の言う通りに、両手を広げて部屋中をぶんぶん言いながら飛び回る。
俺の飛びっぷりにご機嫌になった叶も、あとに続いてはしゃいで飛び回っていた。

なんの羞恥プレイやねんコレ!
めっちゃ恥ずかしいわ!
俺もう今年で16やねんけど!


「ぶんぶんぶーん!」
「おだおだぶんぶーん!」

もうヤケクソでぶんぶん言うてたら、扉の方からバサバサッと音が聞こえた。
え、と思って視線をやると…!?

「ご、ごめん。俺、そんなつもりじゃ…
ええー!? ちょ、勘違いや! 誤解やって!」

ノート2冊を床に落として、呆然と宮川が立っていた。


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