「そんじゃ、ご飯でも作るかなーっと。何か食べたいのある?」

立ち上がって冷蔵庫を覗く浜田の背中を見てると…俺の腹がいち早く反応して ぐぅと鳴った。

「あれー、あんまり材料ないなー。買いに行くかー」

ゴソゴソと漁ってる浜田の元へと近寄り、丸まってる背中にくっついてみた。

理由なんてない。
ただそこに背中があったから…腕を回してみただけだ。

「お?」
「…タイムセール始まるぞ、早く行こうぜ」

少し驚いてる浜田をそのままに、おなかに腕を回してぴったりとくっつく。こんなの、ただの気まぐれってことにしてくれ。

「そうだな、行くかv」
「おぅ。エコバック忘れるなよ」

ポイントつくんだからな、って言いながら、二人で並んで玄関へ向かう。

今日の夕飯は、しょうが焼きにしよう。今んとこ、俺がレシピなしで作れる唯一のメニューだ。
喜んでくれるかな…いや、こいつは絶対喜ぶな。うん。


靴を履きながら、どこか幸せそうなこいつの横顔を見つめてみる。

いつか、本当の意味で一緒に暮らすことが出来たら…。



そんな、
まだ少し遠い未来を想いつつ。


とりあえずは
おいしいご飯にありつく為に、

玄関のドアを開けることにした。




うまく、作れますように…!




**END**


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