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「大丈夫っスか?」
「お、おう…」

こてんぱんにした男どもをその場に放置し、今はゲーセン内のトイレにいた。
俺達が騒いでるのを通行人が目撃し、警察を呼んでいるのが聞こえたから…ひとまず、ここへ避難ってことで。

「三橋、何もされてないか?」
「う、うん!」

榛名は予想してたけど、そうか。こっちのサングラスは阿部だったのか。
三橋のあちこちを点検してる姿を見て、喧嘩してた時とは大違い。
同一人物とは思えないな、と笑った。

「可愛い顔して立ってるから、ナンパされんですよ」
「ナンパじゃねぇよ。カツアゲだ」

言いたくなかったけど、ナンパの方がイヤだったから正直に言う。
それにクスッと笑われ、ムッとしたけど…一応、助けてくれたわけだし、お礼言わなきゃな。

「サンキューな、榛名…と、阿部くん」
「え? あ、いえ。慣れてるし」

「え?」
「そういや、そうだな」

ははっと笑う榛名と、呆れた顔してる阿部くん。
そういや、こいつら同じ中学だったな。喧嘩も息ぴったりだったし…。
こう、「背中は預けた!」って感じで…。

「慣れてるって何? よく喧嘩してたの?」
「あー。まぁ、そうスね」

「コイツのせいですよ。かなり腐ってた時期があったんで、誰かれ構わず喧嘩吹っかけて。投手の風上にも置けないスよ。いや、スポーツする者として…」
「っせぇな! お前だって参加してたじゃねーか!」

「アンタが無茶するからでしょ! それに、俺はアンタでストレス溜まってたんで、憂さ晴らしッス」
「あーはいはい、すいませんでしたねー!」

ぷいっと同時にそっぽを向くコイツらが、何か微笑ましいな。
アレだな、小学生のケンカ。


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