唸った所で何も解決せず、しょうがねぇと決心し、トレーを片付けて店を後にした。
一度近くを通り過ぎてみて、会話の内容を聞くも…やっぱりカツアゲみたいだった。
「100円くれよー」とか聞こえたし。ていうか100円て!
心の中でツッコミを入れながら、少し離れたの壁の影から、大きく息を吸い込んだ。
「おまわりさーん! ここでカツアゲしてますよー!」
大声には多少、自信があるんだ。
それに男たちがビックリして、キョロキョロしながらいなくなった。
完全に姿が見えなくなったのを確認した後、まだ怯えてる三橋の傍に駆け寄る。
またカツアゲ連中だと思ったのか、肩をぽんってしただけですっげぇビクゥッ!ってなったのが笑えるんだけどさ。
「よ、大丈夫か?」
「あ! あ、かかかかfghj!」
「はは、かぐやま だって」
「い、いい今ののの」
「そう、今のは俺のウソ。わりと演技出来てただろ?」
「は、はいぃぃい!」
もう何度か使ってる手だ。
卑怯? いやいや、確実な方法だと言ってくれ。
助けられて嬉しいのか、やけにキラキラした顔でお礼を言ってくる。
たいしたことしてねぇんだけど、やっぱお礼言われると照れるな。
「何してんだ、こんなとこで。一人か?」
「う、あああの、ああべくんと!」
「ああ、待ち合わせ?」
「そ、そうです!」
そういや、こいつ阿部と付き合ってんだっけ。
いつだったか榛名から聞いたことあるな。
確か、すげぇ目つきが悪かったような…うーん、不思議な組み合わせだ。
「俺も待ち合わせなんだ。榛名と」
「は、ははるなさんっ!」
榛名にすっげ食いついてきたから、時間つぶしも兼ねてしばらく三橋とそこで立ち話をすることにした。
榛名のマヌケ話や、ちょっとしたことでも面白そうに相槌を打ってくる。
いちいちリアクションのデカイヤツだな。ははは。
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