「いつまでも むぅむぅしてたってつまんねーだろ」
「むぅむぅさせてんの誰だよー!」

ぎゃーぎゃーと叫びながら、剛速球で枕を投げられた。
それを軽くぺしっと叩けば、ますます気に食わないみたいにして「むーー!!」っと唸り声を上げてた。
はは、何か笑えるわ。←

「田島、ちょっと」
「なんだよー! 俺は何も悪くないー!」

じたばたと暴れる田島を無理やり引き寄せて、腕の中に納める。
最初の内は抵抗の嵐だったけど、力で適わないのは知ってるだろうから、次第に諦めてぽてっと脱力した。

それを見計らってから、あくまで優しく原因を突き止める…そうすれば、大抵は大人しくなって素直になるっていう。
田島の扱いは分かっちまうとラクだ。

「せっかく二人きりなのに、勿体無いと思わねぇ…?」
「……だ、だって」

「教えてくれよ。な?」
「……むー」

耳元で囁きながらキスすれば、「ぐあー!」とか言って田島がまた怒り出した。
あれ、予想外の反応。

「な、何だよ?」
「花井がぎゅーしてちゅーなんて珍しいぞ!」

「そ、そんなことねぇだろ?」
「何かやましい事があるんだー! 浮気をごまかしてるんだー!」

う、浮気!?
俺が浮気してるとでも思ってんのかこいつは。
ほとんど一緒にいるくせに、いつ俺に浮気するヒマがあるってんだ。

「俺が誰と浮気してるって?」
「見たもん! 昼休みに、花井が女と喋ってんの!」

「あのなぁ、クラスの半分は女なんだから、そりゃ話すことだってあるだろ?」
「違う〜! クラスの女じゃなかった〜!」

ぎゃいぎゃいと叫ぶ田島を押さえつけながら、誰と喋ってたっけと思い返そうとしたんだけど…田島の目にうっすらと涙みたいなのが見て取れて驚いた。

「えっ!? ちょ、たじm」
「はないのばかちんー! うわあああん!!」

「ええ!? わ、悪かったって、だから泣くなy」
「やっぱり女のがいいんだー!」

「だーから、違うって!」
「聞こえたもん! 好きな人がどうとかこうとかって〜!」

「すきなひと…?」
「うう〜…!」

そこでようやく、思い出した。
そういえば、田島と話した後に、生徒会の先輩と少しだけ喋ったような…。っても、部活の話だけして終わったのに。

前に榛名さんから聞いた『拗ねたらとことんなタイプ』ってのが頭をよぎった。


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