***

保健室。

陸上部の先輩たち6人と、保健医、モモカン、篠岡が浜田の寝てるベッドを取り囲んでいた。

それに俺と三橋も混ざり、浜田の様子を見る。
ぱっと見、どこもケガしてないような雰囲気だった。焦点も定まってるし、言葉もハキハキしてるし。

冷えた怖い感情がそこで一気に溶けて、大きなため息をついた。
何だよコイツ、ビックリさせんなよ…。

「…タクシー、呼びましょうか」
「…は?」

保健医の神妙な声とは反対に、俺はマヌケな声を出してしまった。
タクシー? って、コイツ何か…?

すぐに聞きたいのに、全身が固まってしまったみたいに動かない。
声が出ない。

「…校長室、行ってくるわ。あなた達も、状況を詳しく話さないといけないから、ついてきてちょうだい」
「は、はいっ…!」

「すいません、俺が不注意だったから…!」
「私の責任でもあるわ。…さぁ、行きましょう」

モモカンも怖い顔をしていて、先輩たちは今にも泣きそうにしていた。

ちょっと待ってくれよ。
校長室とかタクシーとか、何の話だよ?

「あ、あのっ…!」
「三橋君、今日は野球部の練習は中止になるかもしれないわ。花井君たちに伝えてきてちょうだい」

「ど、どうし、て…」
「先生、後はお願いします」

はい、と小さく返事が聞こえ、モモカンたちは保健室を出て行った。
しーん…と、誰も何も話さない状況だったのを打破したのは、浜田本人の一言だった。


[*prev] [next#]

4/20


目次SRTOP





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -