その後すぐにモモカンに呼ばれて、俺達は意地悪トスをすることになった。
俺の相手は今日は三橋で、いつも俺が捕れ易いように投げてくる。
いやいや、もっと意地悪してくんないと意味ねーっての。

「三橋、もっとあちこち投げていいって」
「う、うん!」

そう笑ってやりながら、またちらりとベンチ付近の浜田を見る。
体操が終わったのか、キャッチボールしたりバット振ったりして、楽しそうに笑ってた。

それにちょっとヤキモチみたいなのが芽生えてきたけど、浜田がボール投げてるとこ見て、またときめいたりして。

あー、野球部に入ればいいのに。
でもそしたらバイトできねーしなぁ…くそぅ。

三橋にまた視線を移し返し、練習に没頭しようと前を向いた。
すると、どっかから女の悲鳴が聞こえた。それと同時に、ドサっていう音も。

反射的に悲鳴の方向を見れば、篠岡が浜田たちを見て絶句しているのが見えた。
叫んだのは篠岡で、その視線の先は…倒れてる浜田?

「浜田さん!!」

花井が一目散に走って駆けつける。
それにつられるように、俺たちも走った。

「どうしたんスか!?」
「ご、ごめん、お、俺が…!」

周りにいた一人が、青い顔で説明してくる。
よくわかんないけど、後ろで球を拾おうとした浜田に気が付かなくて、こいつの振ったバットが後頭部に直撃した…らしい。

「浜田さん! …篠岡、モモカンは!?」
「あ、あ…い、今は職員室に…!」

「今すぐ呼んで来い!」
「う、うんっ!」

花井が篠岡に指示を出して、俺たちは必死に浜田の名前を呼んだ。
でも、ピクリとも動かずにだらりと倒れている。

な、何だよコレ。
どうなってんだ?




…怖い。


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