***

3時間目だか4時間目のチャイムが鳴り、校舎の影に隠れて涼む。
ふー、と壁にもたれかかってしばらくすると、いい匂いが鼻腔をくすぐった。

そういや、なんとなく腹減ったかも…そう思ってるとついつい、その匂いに誘われてしまった。

とある窓の下まで行き、近くの木に登って校舎内を見る。そこは家庭科室で、どこかのクラスが調理実習をしていた。

匂いからして、魚か何かを焼いてるみたいだ。味噌汁の匂いもする。
スゥーっと匂いを体に取り入れつつボンヤリしてると、教室にいた一人と目が合った。
パァッと輝いたその顔は…?

「…ほら、こっちおいで?」

非常口でもある窓の横の扉をカララと開けて、沖が手招きしている。
そっか、ここは3組だったのか。

「どうしたの、沖?」
「ほら!v」

沖が俺を指差して、西広とも目が合う。お前ら、エプロン似合いすぎだろ。

「可愛いねぇ〜。おなか空いてない?v」
「あはは、ちょうどお魚だしねv」

沖と西広、他数名が俺に興味を示してる。
丸々の魚をくれ、と言いたいところだが、それは無理なハナシだしな。
切れ端でもくれ、という思いで「にゃー」と一声鳴いてみると、沖が奥に引っ込んだ。


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