「三橋。悪いんだけど、ちょっと話あるから、残っててくんねぇ?」
「は、なし? う、うん…」

「よし」

そう言って、阿部君は花井君のとこに行ってしまった。
監督と3人で何か話してる。おれには分からない内容。

『話あるから』って、何だろう?
まさか、キャッチャーやめたい、とか…?

それとも…阿部君、もしかして…

おれのキモチ、気づいちゃったとか…?



●●恋の意地悪問題●●●


「じゃーね、三橋。阿部も」
「あぁ」

「おっさき〜!」
「う、うん! ま、また明日…!」

阿部くんとおれ以外、誰もいなくなった部室。
シン…と静かになったここで、おれは何を話されるんだろうか。

阿部くんは制服に着替えていて、おれはとっくに着替え終わってる。
何だかそわそわして、おれは一人でわたわたしてしまっていた。

キャッチャーやめる、ってのは、たぶん、違う。
阿部くんは約束してくれたもん。
『お前のキャッチは全部俺がやる!』って。

て、ことは…
ぞわっと背筋に悪寒が走る。

バレちゃいけない感情。
バレちゃったら、その約束まで破られてもおかしくない感情。

阿部くんは、頭いい。
おれの視線の意味なんて、もしかしたらとっくにバレちゃってるのかもしれない。

「三橋」
「ぅ、は、はははい!!」

「…でけー返事だな」

阿部くんが呆れたように笑う。
その笑顔にさえ…胸が締め付けられる。


[*prev] [next#]

1/6


目次SRTOP




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -