「……願い事ってさ、尽きないよな」
「そんなにあるんか?」
「ある、な……うん」
「へぇ? 教えてや」
「織田だったら、何を願う? もし、一個だけ絶対叶う、ってんなら」
「絶対なん?」
「そう」
うーん、と考え込んでみたけど。
俺の答えなんて、所詮、行きつく先は。
「『叶と、ずっと一緒におりたい』かなぁ」
言いながら見つめれば、途端に真っ赤になる顔。これはもう夕焼けのせいやないな。
視線を泳がせつつも「バッカじゃねーの」と悪態を吐いてくる。その照れ隠しさえも可愛いと思ってしまう俺は、重症やろか。
「叶は何なん?」
気になって問えば、口を尖らせてムッとしてしまう。
さっきの部室ん時と同じ表情。
これは、叶の『甘えたいけど甘えられない』時のクセ。それにまた愛しさが募ってしまい…その尖った口にキスをしてしまう。
「!」
案の定、驚いた叶にクスクス笑えば、「誰が見てんだか分かんねーだろ!」「恥ずかしいヤツ!」とかいろいろ言うてくる。
けど、全然説得力ないわ。怒気含んでへんし。
嫌がるんは、いつも口だけやもんなぁ。
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