「…別に、したくないわけじゃねーよ…」
「なら、したい?」

「す、少しだけ、なら……っん!」

最後まで言い終わる前に、噛み付くようなキスをされて。

いつもしてる、戯れるようなのじゃない。何つーか、もっとこう…情熱的な感じの。

くらくらするそのキスに、ちょっと身の危険を感じる。
いや、別に嫌なわけじゃないんだけど…目の前の織田は、『発情』って言葉が似合いすぎて。

「は、…ちょ、織田!」
「黙って、な…?」
「…ん、ぅ」

背中痛いし、呼吸もうまくできないし。それに何より、このままじゃ、俺…!

「…も、ダメだ、織田っ…」
「ん…?」

「…たっちゃうから、もぅ…っ!」
「……え?」

激しいキスを振りほどいて、酸素を思いっきり吸い込む。

やっと呼吸できたことに安堵していると、部屋のドアがガチャリとなった。吉が戻ってきた。

この体勢はヤバイと、反射的に織田を蹴っ飛ばして座りなおす。「グハッ!」って呻いてたたけど、特に気にしないことにする。

「ただいまー」
「お、お帰りー。じゃ、俺そろそろ戻るわ」
「おー」

吉とすれ違いで、部屋を後にした。

部屋に戻る途中、『俺が勝ったはずなのに織田にいい様にされた』事にちょっとだけ腹ただしかったけど。

それよりも、
遥かにドキドキの方が大きくて。


そろそろ、
覚悟しなきゃいけねーかもな…。





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