「あ…? え?」
「…俺も、三橋が好きだってこと」

「え、ええ? え、…えええぇえぇー!?」
「何段階で驚くんだよ!」

「だ、だってそ、そんな…!」
「言っとくけど、冗談で男抱きしめるほど、俺は軽薄じゃないからな」

耳に阿部くんの吐息がかかる。それにまたゾクっとした。
さっき背中を走った悪寒じゃない、もっと…甘い痺れ。

「あべく、おれの、こと、好きなの…?」
「だから そうだって言ってんだろ?」

「た、たじまくんは…?」
「ああ、あれ。あれはウソ」

「う、ウソ…!」
「でも、三橋が好きなのは本当」

「え!」
「なんだよ、俺じゃ嫌なの?」

「い、いやじゃな、けど…!」
「けど、なに?」

阿部くんがまたぎゅってしてきた。
前髪が、おれの首筋にかかってくすぐったい。

「あの、おれ、どうして…おれを…」
「ああ、何で三橋が好きなのかって、こと?」

「そ、そうです!」
「んなもん、好きになっちまったんだから、しょうがねぇだろ?」

「え!」

さっきから阿部くんがクスクス笑ってる。
…何だか、おれも こそばゆい。

「俺、ずっと大事にするから」
「……あべく」

「ずっとずっと、好きだから」
「……」

「だから、俺と付き合って」
「……!」

甘い囁きに、全身がかあああっと熱くなった気がした。


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