「か、かか叶!!! …ってぇ!

理性が飛んで、それこそケダモノの如く襲おうとした、のに。
『パシィィッ!』と音が鳴った。それと共にくる、ジンジンする痛み。

「な、何や…?!」
「はい、ここまでー」

後ろを振り返ると、スリッパを持った吉や、畠とか野球部の連中がいた。

あ、そのスリッパで俺の頭を叩いたわけやな…ていうか、スリッパで頭叩くなんて古典的やわ。
って、そないなこと考えてる場合ちゃう!

「え、何なん!? え、ドッキリ!?」
「違ぇよ。まぁ見てろって」

まだひっついてる叶の前に、
吉が五円玉に糸を括りつけたのをぶら下げた。

「はい、これを見て下さい」
「え、ちょ、何してん」
「シーッ!」

俺の声を制止して、柊が「見てろって」とか言うてる。
もしかして、これって催眠術…?

「はい、いつもの叶君に戻りますー、3・2・1…」

吉が指を鳴らすと、叶はハッとして、周りの状況を確かめようとしてるのか、キョロキョロしてる。

「あれ? …何してんだ、お前ら?」
「別に、ちょっとな。じゃ、お邪魔しましたー」

含み笑いをしながら、ゾロゾロと帰っていきよる。


…って、ちょっと待たんかい!!


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