それに、今まで黙っていた浜田が痛いぐらいに手首を掴んできた。野球に支障が出たらどうすんだ、ってぐらい。

「は、離せよっ!」

ほとんど涙声だ。それに自分で気がついてしまって、また恥ずかしくなる。
もう、俺なんてこの場から消えてなくなっちまえばいいのに。

「離せ、っこの、馬鹿力っ…!」

ぶんぶんと振っても、びくともしないその手。いつでも大人な浜田に、力でも叶わないってのを見せ付けられてるみたいだ。

「…ンの野郎! 離せって言ってん」

「離してほしくないくせに」

冷静な声。
それにハッとしたのも束の間、ぐいっと強く引っ張られてしまった。

ぽすんと入った腕の中。
さっき言われた浜田の言葉の意味が分からなくて…ぐるぐる考えてしまう。

「泉、すぐ顔に出るし」
「……?」

「ごめんな。俺、泉がそんな不安がってるって気づかなくて…。舞い上がってたんかな…本当にごめん」

「べ、別に、俺は…!」
「いいよ。分かってる。分かってるから…な?」

そのまま頭を撫でられて、ぎゅってされて、優しい声で囁かれて。

俺は今まで溜まっていたものを全て吐き出すように、浜田に抱きしめられながら――長い間泣いてしまった。



***


[*prev] [next#]

4/8


目次SRTOP




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -