「あ、意外と難しいんやなー」
「だろー?」
「ふーむ…」
ヒントもあるけど、どれもヒントになってないんだよな。織田は少し考え込んだ後、もっかいチャレンジしてる。
手持ち無沙汰になった俺は、もっと寄りかかり、下から覗き込むように織田の横顔を見る。
真剣な顔。
授業中と練習中しか見れない顔だ。
それに、ちょっとだけ…鼓動が早くなる。
「あ、何や。イケそうやで」
つられて見ると、玉があと6個くらいしか残ってない。すげぇ、俺ここまで来たことないのに…。
「えーと、ココがこうやから……」
脳内でシミュレーションしているのか、ブツブツと耳元で喋ってる。それにもまた、俺のドキドキが勝手に加速してった。
「…! 分かった!」
そして、あっという間に消えていく銀色の玉。見事に難問をクリアしたようだ。
「かのー、ほら、できたで! …叶?」
「…えっ、あ! う、うん。すげーな! 60ピカラッツだって!」
体温や声、表情に見とれていた俺は、返事が遅くなって慌てた。
「何やねん、ぴからっつって…」
「得点だよ。高いほど難しいんだ。最低が10で、最高が99なんだけ、ど…?」
俺の説明を遮るかのように、織田がギュウっと苦しいくらいに抱きしめてくる。
それにますます、ドキドキして…。
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