「無自覚だな」
「ふふ、そうだね」

花井と篠岡に呆れたように笑われる。
それが腑に落ちなくて、「何が?」と返しても、阿部の説明が最初から始まっただけで、流れてしまった。

話を聞いてる間、目は自然と水谷の姿を探してしまう。
最初の頃は、水谷もくっついてきてミーティングに参加してきたのにな。

今は教室にすらいない。
意見とか言わなくても、ただ傍にいてくれるだけでも嬉しいのに…。


5時間目の予鈴の鐘がなり、区切りのいい所で解散する。
教室を出ようとした時、すれ違いで水谷が入ってきた。

「あ、終わったの〜?」
「う、うん…。どこ行ってたの?」

「9組だよ〜。三橋が新作のお菓子買ったっていうから、おすそ分けしてもらってたの。今はトイレの帰り〜v」
「…そ、そっか」

なんだ。
別に、たいしたことじゃないじゃないか。
いつの間にか変な疑心が生まれたのか、三橋にまで嫉妬しそうになる自分に笑った。

大丈夫、
ちょっとすれ違ってるだけ。

部活はいつも通りだし、
ちゃんと笑って話もできてる。



大丈夫、大丈夫。




***


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