「…ん?」
脱衣所から出ると、うっすら聞こえる寝息。
すうすうと規則正しいそれの主は、一人しかいないはず。
「叶くーん…?」
小声で呼びながら寝室へ行けば、ベッドの布団が丸まってる。それをそっとめくれば、叶が枕を抱きしめながら眠ってた。
「うっそーん…」
この期待と興奮は、どうしたらええの…?
ぽつんと取り残された俺は、とりあえず髪を乾かしてみたりサンドウィッチを食べてみたり、目覚ましをセットしてみたりしてみた。
その間に、起きるかなーって。
が、俺の淡い期待も虚しく、叶はその後も目を覚ますことなかった。
せめて、一緒に寝かせてもらおうと布団に潜り込めば、ごく自然とくっついてくる。
それがおかしくて笑いながら、
俺も一緒に眠りに落ちた。
・ ・ ・ ・ ・ ・
ピピピ…と電子音が鳴る。
聞き慣れない音だと思いながら、やけにパチっと目が覚めた。
アクビをしながら寝返りをしようとした所で、やっと気がついた違和感。
腰にかかってる少しの圧力。
耳元で聞こえてくる寝息。
「…!?」
すぐ横に、織田の顔があった。
深い眠りにいるのか、電子音にも俺の動きにも起きる気配は無い。
そうだ、俺は旅行中で、織田のシャワーを待ってて…。
………。
そ、それからどうしたっけ?
[*prev] [next#]
8/11
【目次・SR・TOP】