「だからって、何で避けてたんだよ」

ちょっと語尾が強くなってしまった。
それに、田島がちょっとむくれる。

「だって、花井と居ると笑っちゃうし」
「え?」

「いっぱい喋りたいし、キスだってしたくなるだろー?」
「……」

「口内炎は移るって聞いたしさ、キスして移ったら今度花井が痛いじゃん。それに、いつも花井は俺がくっつくと怒るだろ。『人目気にしろ』だの何だのってさー」

「そ、それは…」

それは、ただ恥ずかしかっただけで…嫌だとは一言も言ってない。

「だから、口内炎が治るまでは花井に近づかないよう…に…っ!?」

言い終わる前に、俺は田島のことを引き寄せていた。そんで、腕にぽすんと収まるちっこい体を抱きしめる。
久しぶりの感触に、ちょっと感動したりとかして。

「バカ田島…不安にさせんなよ…」
「……ごめん」

「すげームカつく…マジで…」
「ご、ごめんって!」

俺の背中に腕を回し、ぽんぽんと機嫌を伺うように撫でてくる。
それに、ひどく安心した。

「次からはちゃんと言えよ。そんで、お菓子はあんま食うな」
「ほら、やっぱ怒るじゃん!」

「怒ってねーよ。心配してんの、俺は」
「……へへ。さんきゅー」

そう言って、ぎゅうっと抱きついてくる。
それに、ちょっとした悪戯心が芽生えた。


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