* * *

次は、体育。
皆とお喋りしながら、体育館まで移動。
7組の前を通る時、自然とあべ君の姿を探してしまうんだけど…今日はいないみたい。

すると、前から巣山君がすごい勢いで走ってきて、7組のドアを開けた。
ど、どうしたんだろ?

水谷ぃ! こっち来い!!」
「あれ、どうしたの〜? 忘れ物?」

「んな呑気なこと言ってる場合じゃねーぞ! 栄口が阿部に誘拐された!
「えええええっ!?!?」

えっ!?
今、何て…?

「な、え、どういうこと!?」

「阿部がさっき、俺と栄口を見比べながら『どっちにしようかな〜』って歌いながら、栄口を引きずってったぞ!」

えええ!? まさか、阿部…栄口をどうにかするつもり!?」

「たぶんな。目がイッてたぞ」
「巣山! その場にいたんでしょ、何で止めてくんないんだよー!」

「……いろいろ、事情があってな」(…)
「阿部め! 今すぐ助けに行かないと!」

水谷君が大急ぎで廊下の向こうに走っていった。俺は阿部君が栄口君を誘拐なんて…そんなの信じられない。



水谷君が走り去った先を見ながら、
巣山君が「悪いな…」って呟いたのが聞こえた。



* * *


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