…けど、なに起こらへん。
もう3秒経ったか?そう思い、目を開けようとした、その時。

口に柔らかいのが押し付けられた。

驚いて目を開けると、目の前には真っ赤な叶の顔。
たった1秒間のキス。手をぎゅうっと握ったまま…俺に、キスしとる。

「…はい、しゅーりょー」

そう言って、叶は手を離して、また向かいの席に座った。
何もなかったみたいにして、落ちていく風景を見て…って、ちょお待てぇい!

「な、なな、え、なな、なに、なん…」
「落ち着けよ」

「そんなんムリや!!」
「うるせーなぁ。ただのキスだろ」

ただの、というわりには、顔がまだ赤いねんけど…
無性に愛しく感じ、今度は俺が向こうの席へ移って抱きしめた。

「…おい、見られるだろ」

口ではそんなん言うてるけど、叶の手が俺の制服の裾をぎゅっと握ってる。
いつも嫌がるのは口だけやって、知ってんねんで。

「なぁ。てっぺんでキスすると、何かあんの…?」
「んー… さぁ、どうだか」

「教えてやー」
「自分で考えろよ。ってか、マジで見られるから、もう離れろって」

「えーケチやなー」
「どうせケチですー」

ぐいっと押されて、腕の中から温もりが消えて。
それから観覧車が到着するまで何回も押し問答があったんやけど…結局は教えてくれへんかった。



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