* * *

「阿部、どうした? 死んだような顔して…」
「アハハ、すげぇ顔〜!」

「…るせぇ、クソレ」

教室、授業の合間に花井と水谷に声をかけられた。そんなにヒドイ顔してるんだろうか。

いや、してるに違いない。
昨夜の三橋の言葉が、頭から離れない。

『次はね、おれが、あべくんに、入れたい!』

一瞬何のことか分からなかった。
遅れてその意味が分かっても、俺は返事出来なかった。

だってそうだろ?
まさか三橋がタチしたいって思ってるなんて…夢にも思わなかった。

いっそこいつらにも相談しようか?
こいつらももう相手と済ましてるわけだし。とはいっても、簡単に口に出せるわけない。

花井はたぶん気の毒そうに見てくるだろう、水谷は爆笑だ。
哀れみも笑われるのも耐えられない。
それに、俺がそれを言葉にするのが怖かった。言霊みたいに、現実になったらどうしよう、って。

「寝不足か?」
「…まぁ、そんなとこ」

「昨日、三橋泊まってったんでしょ? 頑張りすぎちゃった〜?v」

水谷のするどい言葉に体がビクッ反応したけど、その後すぐにシメてやった。
口から魂がこんにちはしてるアホは放っとくことにして。

相談できるとしたら、後は織田か浜田。
でも、織田はまだ叶とはシてないはず。

となれば、
相談できるのはただ一人。






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