「叶、どうしたん?」
「な、ななななにが!?」
何って…明らかに挙動不審やん。
顔は赤いし、目も泳いどるし…
「あ、あと、18秒だな!」
「…せやなぁ。何や、てっぺんに何かあるんか?」
俺の質問に、叶は黙ってしもた。
図星やな。けど、…何やろ。見当もつかへん。
「……な、織田」
「んー?」
「手、とか、つなぐ…?」
「へ!?」
叶が上目遣いで言う。
まぁ、俺がデカイから自然とそうなるんやけど…!
な、なんやねん!
急にそないなこと言われると、心臓が大暴れやんか!
「え、ええの?」
「ん……」
ちょっとだけ頷き、俺の左手に、右手を乗っけてくる。
冷たい手。緊張してんねやろか…。
俺も同じくらい、冷たいねんけど。
俺からもぎゅうって握ると、叶の顔があからさまにかああっと赤くなった。
あかん… めっちゃ可愛い…!
「なぁ、織田」
「なんや?」
「あと、12秒だな」
「せやな… 何があんの? 教えてや」
「ルールだけ、教えてやる」
「ルール?」
観覧車にルールなんてあったやろか…。
それとも、この辺では有名なんか?
「てっぺんに着く3秒前になったら、目をつむらないといけないんだ」
「へー、そうなん?」
「そう。で、じっとしてんの」
「それは何でなん?」
「…いずれ、分かる。あ、あと4秒…」
「ふーん…」
もう少しで てっぺんらしい。
俺は言われた通り、目をつむった。
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