叶が『全部制覇するまで帰らない!』とか意気込んだおかげで、もう外も暗なってきてた。
寮の帰宅時間もあるし、そろそろ帰らなアカンねんけど…。
ホンマに、楽しい時間っちゅーんは、あっという間やなぁ。

「叶、もうええんちゃうん? 全制覇したやろ?」
「何言ってんだ。あれがまだ残ってるだろ!」

指差したのは、観覧車。
まさか叶がそんなん乗りたいって言うとは…予想外やったわ。

あっけにとられてる俺の腕を引っ張りながら、さっさと列に並ぶ叶。
観覧車は他のアトラクションと違って大して混んでへんかったから、わりとすぐに乗ることができた。

「叶もこんなん乗りたいんやなぁ」
「…んだよ。悪いかよ」

「ちゃうねんて。観覧車なんて退屈やーって言うタイプやと思っててん」
「退屈だぞ」

「へ?」
「ただ回ってるだけじゃねーか、こんなん」

「ほな、何で乗ったん?」
「……別に」

ぷいと顔を逸らされる。
若干顔が赤いような気がするんは…気のせいか?

「まぁ、ええけど…。なぁ、さっきから気になっててんけど」
「何だよ?」

「この時計みたいのん、何やねん。何の時間や?」
「えー、と……」

観覧車の窓の上んとこに、ちょこんと付いてるデジタル時計。
カウントダウンしとるし、時計やないってことは分かんねんけど…

「これは…てっぺんまでの秒数。あと26秒ってこと」

26、25、24…。
あともうちょいで、折り返しってことやな。

「ふーん…でも、何で表示され」
「なぁ! そっち行ってもいいか?」

「え? あ、ええけど…」
「お、おぅ…」

俺の言葉を遮るように、叶がこっち側に来た。
重心がこっち側に偏って、少しグラグラする。

けど、それより気になんのは…。


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