「織田、まだ願い事あるぞ」
「んー? 何や?」
鞄を持ちながら問えば、空いた左手にそっと手を重ねられて。ちょっと照れながら握られる。
「『手つないで帰る』、とか」
「な!」
ボン!と自分の顔が音を立てて赤くなったような気がする。
ちょ、いきなりなんつーこと言うねん!
心臓に悪いわ!
「織田、また赤いぞ。耳まで」
「うっさい。分かってるわそんなん」
「ははは! いつもハズイことやられてばっかだからな。仕返し♪」
そう笑う叶の顔は、いつもより少し綺麗で。
それにまた、トクンと心臓が鼓動した。
他には
どんな願いごとがあんねやろ。
俺で叶えられることやったら、
何でもするんやけどな。
繋いだ手の温度に気をとられて、
俺達は頭上に流れた星に、
気が付かなかった。
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