勘違いじゃない、
自惚れじゃない。

思い過ごしなんかじゃない…はず。

きっと、同じ気持ちだよね?


●●Twilight●●●


「うーん…」
「…ど、どう? 忙しい?」

栄口が風邪で寝込んだ後、俺も同じように寝込んで。
お互いに看病し合って、お互いに完治した今。

風邪も治った事だし、部活も休みだし、といろいろ理由をつけて、栄口をご飯に誘ってる所なんだ。

なるべく自然に誘ったつもりだけど、もしかしたら顔が強張ってるかもしれない。
手なんて思いっきり冷たいし…!

ダメって言われたらどうしよう、とぐるぐる考えながら返答を待つと、栄口もどこか緊張した顔で「いいよ」って笑った。

心の中でガッツポーズをしながら、待ち合わせ場所と時間を決める。
予定では、お昼ご飯を食べて、テキトーに時間を潰した後…静かな中央公園で、大事な話をするんだ。

初めて会った時に目覚めて、今まで育ち続けてきた感情。
…それを、栄口に打ち明けるんだ。

拒絶されるかもしれない、でも受け入れてくれるかもしれない。
受け入れてくれるかもしれない、でも拒絶されるかもしれない。

堂々巡りする不安と希望で、どうにかなっちゃいそうだ。

「楽しみにしてるね!」
「うん、俺も!」

…これが、最初で最後の約束になっちゃったりして。
けど、実は緊張や不安よりも、期待の方がほんの少しだけ大きいんだ。

栄口も、もしかしたら…
俺と、同じ気持ちなんじゃないかな、って思ってるから。



* * *


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