別に、ご飯につられたワケじゃないし!
ちょっとお腹が空いてただけだし!
本当だし!
●●First step●●●
「慎吾さんに告白されたぁ!?」
「ちょ! シィー!」
利央の大きくて素っ頓狂な声が、静かな公園に響いた。
周りに誰もいないとは言え、そこまで盛大なリアクションしなくても…
「いつ!? 何て言われたの!?」
「だから、声大きいって! えーと、言われたのは4日ぐらい前で…その、普通に好きだ、って…」
本当は誰にも相談しないで、自分で決めようって思ってたけど…ぐるぐると同じことばかり考えて答えが出ないから、初めて利央に打ち明けてみたんだ。
予想通りの反応っていうか、それ以上にビックリしてるみたいだけど。
「ダメに決まってるじゃん! すぐに断った方がいいよ!」
「な、何で決めつけるんだよ。慎吾さんイイ人だよ?」
「イイ人なわけないでしょ! 慎吾さんの噂は知ってるでしょ!?」
「それは、まぁ…」
「老若男女、365日、昼夜問わずに遊び歩いてる男だよ!? 本気なワケないもん!」
「と、とりあえず落ち着こうよ! 座って座って!」
興奮で立ち上がって力説する利央を、また横に座らせる。
何度か深呼吸して落ち着いたのか、今度は静かなトーンで いかに慎吾さんが遊び人かを説明してきた。
たぶん、利央の反応が一般的な意見なんだろうな。
俺よりも慎吾さんと付き合いのある利央が言うんだから、あながち的外れでもないだろう。
それでも俺は、本当に'そう'なんだろうか、ってずっと引っかかってる。
確かに、交友範囲が広いのは、誰が見ても明らかだけど…
「断るの気まずいんだったら、俺から慎吾さんに言ってあげようか?」
「いいよ、自分で言うから… それに、断るってまだ決めてないし…」
「もー! 俺がこんだけ忠告してるのに!」
「分かってるって! 分かってるんだけど…」
利央が俺の為に言ってくれてるのは伝わってくる。
けど、俺にはそこまで悪い人には思えないんだよなぁ…
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