・ ・ ・


「…ごちそーさんv」

後始末を終え、また爽やかに笑いかけられた。
ヘトヘトになった体を抱きしめられ、そっと布団をかけてくる。

甘い雰囲気に、騙されるもんか!
散々我慢させられて、その上噛みつかれて、もう無理だと言ってるのに3回目も求められて!
これが怒らずにいられますか!

「大丈夫か?」
「じゃない…」

「ごめんごめん。沖からねだってくるの初めてだったからさ、つい調子に乗った」
「……乗り過ぎだよ」

ねだってない、とは言えない。
だって、何か…本当に嬉しそうに言うんだもん。

ちょっと照れてる巣山を見たら、怒ってた感情が しゅーんって小さくなってくのが分かる。
その顔、反則だよ。怒るに怒れないじゃん…

「…あ、歯形ついちゃったな。痛いか?」
「痛いよ… すっごく痛い…」

わざと口を尖らせると、ふっと笑ってキスされた。
ごめんな、って頭を撫でてくる手が、あったかくて優しい。
うぅ、つい うっとりしちゃうよ…

「何か、美味そうに見えるんだよな… 噛みつきたくなるっていうか…」
「…噛むのはいいけど、かぷって感じにしてよぅ…」

「はは、分かった。気を付けるよ」
「うん…」

本当かなぁ?
ちょっと疑わしいけど、そんな風に微笑まれると、つい信じたくなっちゃうよ。
もっかい歯形つけられたら、次こそはちゃんと言わなくちゃ!

「そろそろ寝るか?」
「うん、眠い…」

「おやすみv」
「おやすみぃ…」

疲労と眠気で、3秒で眠れちゃいそうだ。
うとうとしながら巣山の腕に更に潜り込むと、ぐぐーって巣山からもくっついてくれる。


誘われる夢の世界の扉を開けながら、

もう二度と隠語は使わないぞ、と心に決めた。






**END**


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