* * *


うるさいぐらいに鳴る心臓の音の向こうで聞こえた、絞り出すように囁かれた言葉。
もしかしたら水谷も俺の事…って思ってたけど、いざ言われると時間が止まる。

何も言えずに固まってると、水谷が「実は、初めて会った時から…」と説明してくれる。
初対面だけど、初対面じゃないような気がした事や、何となく気になって目で追うようになって、それからは加速する気持ちが止められなかった、と。

それは、俺とまったく同じことで。
体から少しずつ力が抜けて、ほう…っと長いため息が出た。

俺の勘違いじゃなかったんだ。
そう思ったら、冷たかった指先にまでどんどん熱が回って行く。

「……一緒、だね」
「え…?」

「俺も、同じこと、言おうとしてた…」
「……え? …えっ!? 本当!?」

うん、と ぎこちなく笑うと、水谷の肩がガクッと落ちた。
水谷も力が抜けたのか、「はぁー…」って長く息を吐いてる。

その様子がおかしくて笑うと、つられたのか「……へへへv」って水谷も笑った。
あ、この笑い方可愛いな、って思ったら、ドキンじゃなくてトクンと胸が高鳴った。
これが所謂、ときめきって奴なのかな。

「あーもー緊張したぁあああ! 良かったぁあああ!」

立ち上がって夕日に向かって叫ぶ水谷に、俺も同じく立ち上がって「俺も緊張したぁあああ!」って叫ぶ。
ハァ、ハァ…と呼吸を整え終わった後は、二人で一緒に大笑いした。

「はー、おかしい…! もー、緊張で死ぬかと思ったよ〜!」
「あははは! 俺もだよー、もー!」

「あははは! …でも、一緒で良かったぁ〜…」
「…うん、そうだね」

…そうだ。
俺も言わなきゃ、ちゃんと。

きっと不安もあっただろうけど、ちゃんと言ってくれたんだから。


「…ねぇ、水谷。…好きだよ」



* * *


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