* * *
俺はストレート、栄口にはミルクティーを手渡し、ベンチに並んで座る。
熱かったのか、袖を少し引っ張って缶を両手で持って飲む栄口に、ドキドキするので忙しい。
ただでさえ緊張してるのに…と少し恨めしく思いながら、気付かれないように深呼吸する。
誰もいない今がチャンスだ。言え、言うんだ!…って思ってるのに、なかなか言葉が出てこない。
沈黙してしまう俺を不思議に思ってるのか、栄口も無言だ。
このままじゃ日が暮れちゃうって。
そんで今日はやめとこう…って後回しにしたら、いつまで経っても伝えられないよね…!
よ、よし…!
「…あのー、栄口…?」
「なに?」
「その… は、話があるんだけど…」
「話…?」
「うん… その、とっても、大事な話…」
「……なに?」
俺もド緊張してるけど、栄口の声も少し震えてる。
もしかして勘付いたのかな。俺が何を言いたいのか。
「えーと、…そのー…」
「…俺も、ある」
「え?」
「俺も、話したいこと、ある…」
俯いたまま、ぽそぽそと小さい声で告げられる。
驚き見た横顔は、どんな表情してるのかは見えなかったけど、耳が真っ赤になってるのは分かった。
これは夕焼けのせい?
それとも、もっと違う…期待していいこと?
ますますドキドキしちゃうけど、少しだけ気持ちが浮上した。
この反応…やっぱり、勘違いなんかじゃないはず…!
「それって…もしかして、俺と同じだったり、するかな…?」
「……だ、だったら、いいなって、思うよ…」
「それって、最初に『す』が付く…?」
「……つ、付くかもしれない…」
遠回しに聞くと、遠回しに返された。
ドックン、ドックンと全身に心臓の音が鳴り響く。
今だ。
言え、言うんだ。
「…栄口、……好きだよ?」
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