* * *
「ティラミスおいしかったねぇ〜v はー、幸せ〜…v」
「うん、おいしかったv …ていうか、俺も払うって! いくらだったの?」
ティラミスの後味を堪能してると、栄口がお財布を持ったまま抗議してくる。
お昼は割り勘だったけど、今回は俺がさっさとお会計しちゃったのが不満みたいだ。
「だって、ここは予定じゃなかったし…俺が無理に連れてきたから、いいんだって!」
「無理にじゃないもん、俺も行きたいって言った!」
…えーと、何ですかその顔は。
え、普段からこんな顔してました?
口を尖らせて拗ねるように訴えてくる顔に、心臓の音がどんどんスピードアップしていくんですけど…!
胸が苦しい、誰か助けて!
「ええ〜… これくらい奢ってカッコつけたいのに〜…」
「…カッコつける必要、ありません。いいから、白状しなさい」
なぜか敬語で窘められた。
栄口ってこんな頑固だっけ?と思いながらも、これ以上長引かせたくないのもあって、結局は割り勘する事にした。
「ふー、スッキリした!」
「ぶー…」
「はは、何だよ、ぶーってv 子供かv それより、この後どうする?」
「この後? えーっと…あ、ちょっとその辺見てく?」
帰るにはまだ早いかな、と思って、少しブラつこうと提案する。
それに栄口が「じゃあ、ついてくね」って笑って、少しだけ距離が近づいた。
…また、勘違いしそうになる距離だし。
ただはぐれないようにしてるだけだって、きっと。
そう自分に'過剰に期待するな'と牽制しながら、隣を歩く。
…この道が、どこまでもずっと続いていればいいのに。
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