離れようと体を押し返すものの、梶の圧倒的な力の前では、それも無意味で。
急な熱い抱擁に、為す術もなく されるがままだった。
「匂いだけでも…」
「に、匂いって…」
首の辺りをすんすんと匂われて、若干恥ずかしいんですけど。
風呂には入ったけど、梶が動物的過ぎて戸惑う。
…って、いつまでやってんだこのバカ!
「あー、ダメだ…」
「何が… ていうか、もう離れろって!」
「味だけ、味だけ…」
「味? …っむ!」
…離れるどころか、もっと深いキスしてきやがった。
梶のキスの仕方は、もう1年以上一緒にいるから慣れてるけど…ここでそんなのされると、体に悪い。いろんな意味で。
少し抵抗したけど、梶は'離す気なんてありません'みたいな空気出してる。
だったら、俺も楽しまないと損かな…なんて思ったりして。
エロエロなキスを、誰に見られるかも分からない外でするなんて…と一種の背徳感を感じてると、ようやく梶の唇が離れた。
お互いに酸素を求めてハァハァと呼吸してると、背中をぽんぽんと優しく撫でてきた。
「…上がったらダメ?」
「ん、だめ… みんないるし…」
「だよな…」
「ん…」
キスの余韻に浸りながら、梶の体にすり寄る。
俺だって部屋に上がってほしいけど…家族の目があると思うと、余計に焦れったい事になりそうだ。
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