・ ・ ・
「…お待たせー」
「マジで来たよ…」
外で待ってると、思った通りにチャリンコでやって来た。
少しだけ息切れしてるって事は、急いできたんだろうな。
確かに「今すぐ」って言ったけど、そんな忠実にしなくてもいいのに…
「こんばんは」
「はぁ、どうもこんばんは… つーか、ごめん。マジで来ると思わなかったから…」
「イジワルしたんだろ、分かってる」
「え、分かってたのに?」
「俺は会いたいと思ってたから、口実。イジワルを利用しただけ」
「…あ、そう」
恥かしげもなく、つらつらとよく喋れるもんだ。
家の窓から漏れる灯りに照らされたくなくて、梶の腕を掴んで少し脇に隠れる。
ここなら、俺の照れてる顔が分からないだろうって事で。
「…で、次のお願いは?」
「えっと…何も考えてなかった」
「だろうな。んじゃ、俺のお願い聞いて」
「え? なに?」
…しまった、何って聞くんじゃなかった。
コレじゃお願い聞いてやるって言ってるようなもんじゃないか。
すぐに気が付いて否定しようと思ったけど、梶の方が一歩早くて…
「…! な、なにす…!」
「誰も見てないって」
それはそうだけど、外でキスなんかすんな!
家には家族全員いるし、通行人だって来るかもしれないのに…!
つーか、離れろ!
抱き付くんじゃねぇ!
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