「ていうかさ、そもそも何で浜田に嫉妬すんだよ。必要ねーじゃん」
『何で?』
「何で、って… 浜田には泉君がいるし、そもそも友達っていうか」
『俺たちも最初は友達だっただろ』
何だか、ハッキリと今の友達以上の関係を言われたようで気恥ずかしい。
少し言葉に詰まってると、梶が『浜田はいい奴だからな…』と小さく呟いたのが聞こえた。
『ネガティブな事言うわけじゃねーけど。単純な事実として、浜田にゃ敵わんからな』
「へー、そう思ってたんだ」
『俺はどっか打算的な所があるけど、浜田は素直っていうか…誰にでも愛されるキャラじゃん』
「ふーん… まぁな」
『だから、梅が惚れてもおかしくねーだろ?』
「うーん、それとコレとは違うような…」
普段は、こんな事言わないくせに。
電話で顔が見えないからなのか、梶にしてはいつもより饒舌な気がする。
確かに浜田はいい奴だし、誰にでも好かれてて、明るくて。
悪い所を言えって言われたとしても、すぐに思いつかないぐらいだ。
…だけど、梶の主張は根本的に間違ってる気がする。
「逆に聞くけど、お前は誰にでも愛されたいの?」
『え?』
「俺だけじゃ不満なのか、って聞いてんだよ」
『…滅相もございません』
「大体、キャラなんて人それぞれだろ。第一、それ言ったらお前が浜田に惚れてもおかしくねーじゃん」
『いや、それはない。俺には梅がいるし』
「ほら見ろ。お前の主張は、始めっから破綻してんの!」
『…それって、梅も同じ理由って事?』
「当たり前の事聞くな」
『へーへー、すいませんでした』
気を良くしたのか、声が少し明るくなった。
ははは、と笑ってる梶の声だけで、どんな顔してるのかも想像がつく。
きっと、少しだけ照れ臭そうにして、オデコ掻いてるんだろうな。
…俺には梶がいるし、梶には俺がいる。
この前提を無視して浜田に惚れるなんて、あり得ないだろ?
それに、浜田には泉君という怖い小悪魔がいるわけだしな。
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