「アイツは、いつも俺の事が優先で。自分の事を後回しにする傾向があるんだけど」
「うん、それは何となく分かるよ」

「だろ? だから、もし同じような状況に…つまり、俺だけでも助かってほしいみたいな事になったら、映画と同じような事するんじゃないか、って…でも、絶対にそんな事してほしくないんだ」

…やっぱり、そうだ。
ぽつぽつと言葉を落としながら、深いため息をついて。
独りにされた後の事を考えてるのか、自分の体を抱きしめるように腕を組んだ。

「だからと言って、浜田に言えるわけないだろ? 俺が万が一危険になっても、犠牲になるような事するなって」
「何で?」

「俺の性格からして、言えねーっつの。それに、『たかが作り物の話じゃないか』って笑われるかもしれないし」
「うーん…」

確かに、映画内容が日常で実際に起こるとは思えない。
まぁ、その『性格からして言えない』ってのは、分かるような気がするけど…

「栄口は? 水谷にされて嬉しいか?」
「…ううん。俺だけ助かっても、水谷がいないんじゃ意味ないし」

「だろ!?」
「うん。だから分かるよ、泉の気持ち」

どこかホッとしたように、泉が息を漏らした。
俺だって考えたくない。水谷がいなくなるなんて。

ましてや、俺を守ってとかだったら、余計に自分を責めて責めて苦しくなりそうだ。
俺だけ助かるぐらいなら、いっそ一緒に…なんて。

でももし、俺の命で水谷だけでも助かるなら…なんて気持ちもある。
これは、助けたい側のエゴなのかなぁ。



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