「俺に近づいてくる奴は、大抵 噂を聞いてちょっかいかけてくるんだ。お互いに『その場が楽しければいい』って感じで」
「は、はぁ…」
「俺もそれが気楽だと思ってたし、普通に楽しかったりするから、特に不満はなかった。来るもの拒まず、去る者は追わず、みたいな」
「はい…」
「でも、迅は追いたいと思った。捕まえたいって」
「…ええっ!?」
「その他大勢より、迅1人がいいって思ったんだ」
「……そ、そうです…か…」
真剣な眼差しで訴えてくる慎吾さんから、思わず目を逸らしてしまう。
眼力が強すぎて受け止められない。
何より自分の心臓がバカみたいに飛び跳ねて、今にも倒れちゃいそうだ。
体中の血液が沸騰してるような気がする。
「…実はさ、こんな風に誰かに執着するなんて初めてだから、勝手がよく分かってないんだ。どこまで踏み込んでいいのか、どこまで束縛していいのか」
「は、はい…」
「迅にも、嫌な思いさせるかもしれないし…」
「え…? 何がですか…?」
小さく聞き返すと、慎吾さんがバツの悪そうな顔で「'その他大勢'が、迅を攻撃するかもしれないから」…らしい。
遊ぶ相手を盗られて嫉妬する、って意味なんだろうか。
うーん、確かにそうかもしれない…特に、女の子の嫉妬は怖いって聞くしなぁ。
もし俺が攻撃されたとしたら、ちゃんと耐えらえるんだろうか。
面倒な事に巻き込まれたとしても、慎吾さんを強く想えるんだろうか。
それでもいい、傷つけられても慎吾さんの傍にいたいって…
…また新たに考えることが増えて、余計に頭がこんがらがってきた。
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