「俺に近づいてくる奴は、大抵 噂を聞いてちょっかいかけてくるんだ。お互いに『その場が楽しければいい』って感じで」
「は、はぁ…」

「俺もそれが気楽だと思ってたし、普通に楽しかったりするから、特に不満はなかった。来るもの拒まず、去る者は追わず、みたいな」
「はい…」

「でも、迅は追いたいと思った。捕まえたいって」
「…ええっ!?」

「その他大勢より、迅1人がいいって思ったんだ」
「……そ、そうです…か…」

真剣な眼差しで訴えてくる慎吾さんから、思わず目を逸らしてしまう。
眼力が強すぎて受け止められない。

何より自分の心臓がバカみたいに飛び跳ねて、今にも倒れちゃいそうだ。
体中の血液が沸騰してるような気がする。

「…実はさ、こんな風に誰かに執着するなんて初めてだから、勝手がよく分かってないんだ。どこまで踏み込んでいいのか、どこまで束縛していいのか」
「は、はい…」

「迅にも、嫌な思いさせるかもしれないし…」
「え…? 何がですか…?」

小さく聞き返すと、慎吾さんがバツの悪そうな顔で「'その他大勢'が、迅を攻撃するかもしれないから」…らしい。

遊ぶ相手を盗られて嫉妬する、って意味なんだろうか。
うーん、確かにそうかもしれない…特に、女の子の嫉妬は怖いって聞くしなぁ。

もし俺が攻撃されたとしたら、ちゃんと耐えらえるんだろうか。
面倒な事に巻き込まれたとしても、慎吾さんを強く想えるんだろうか。

それでもいい、傷つけられても慎吾さんの傍にいたいって…



…また新たに考えることが増えて、余計に頭がこんがらがってきた。


[*prev] [next#]

5/7


目次SRTOP




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -