・ ・ ・


「…お、お待たせしました!」
「おー、俺も今来たトコだから。はい、コレ」

「え、いいんですか? あの、お金…」
「いいって、それぐらい」

オレンジジュースを渡されて、隣に座るよう目配せされる。
お礼を言いながら、少しの間隔を空けて隣に座った。

…そして、長い沈黙。
いや、時間的には5分くらいだと思うんだけど、空気が重いっていうか…俺から話しかけた方がいいんだろうか。

そりゃそうだよな、だって俺が返事をしないといけない立場なんだし…
でも、まだ何の返事も決まってない状況で来てしまったし、どう切り出せばいいのか…

もらったジュースを持ちながら、心の中でうんうん唸っていると、ようやく慎吾さんが声をかけてきた。

「…何つーかさ、ダメだと分かってても緊張するよな」
「え?」

「いいんだ。ダメならダメって、ハッキリ言ってくれた方が助かる」
「だ、ダメって…?」

「断りにくいと思うけどさ、やっぱそれなりに言ってもらわないとコッチも諦めが」
「ちょ、ちょっと待って下さい! おれ、断るなんて一言も…」

「え!? じゃあオッケーなの!?」
「あ! あの、そう、じゃなくって〜…!」

驚く慎吾さんに慌てながら、自分の正直な気持ちを伝える。
慎吾さんの事は尊敬してるし、もちろん好意だってあるけど…俺なんかで不釣り合いなんじゃないか、本当に俺の事が好きなのか、その他大勢と一緒の好きなのか、違うとしたらどうして俺なのか…

俺も緊張して矢継ぎ早の質問になってしまったけど、慎吾さんはただ静かに頷いていて…どこか微笑んですらいるように見えた。


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