「じゃあ、OKするの? 迅も慎吾さんが好きなの?」
「ううーん… 分かんない…」

どっちかと言うと、好きの方だと思う。
チャラついてる雰囲気はあるけど、勉強を教えてもらった事もあるし、慎吾さんの友達の為にいろいろ動いたりしてるのを見た事もあって、尊敬もしてる。

けど、一歩だけ近づく勇気がない。
365日楽しく遊んでる慎吾さんが、俺といて楽しいわけがない。
楽しませる自信もないし、逆にコッチが息切れしちゃいそうだ。

「慎吾さんには、いつ返事するの?」
「とりあえず、一週間後って言われたよ。それまでに考えといてくれ、って」

「じゃあ、あと3日か…」
「…慎吾さん、『俺の噂は知ってるだろうけど…』って言ってた。その時、ちょっと切なそうな顔してて…」

「それが手口なんじゃないの? 同情させて…みたいな!」
「もー、利央は何でそんなに悪く言うの?」

「だって準さんが言ってたもん! 稀代のタラシ男だって!」
「へ、へぇー…」

そこまで言うか…
でもそれは、準さんの意見であって、利央の意見じゃないよなぁ。

もしかしたら、準さんが利央の事をからかって大袈裟に言ってるかもしれないし。
人の噂ほど、当てにならない事もないしなぁ。

…って、また考えが堂々巡りして収拾がつかない。
俺は、どうしたいんだろう…どうするのが正解なんだろうか。

「迅ってさ、慎吾さんのこと庇ってばっかりだよね。あんまり人を信用しちゃダメだよ?」
「信用出来る人だと思って、信用してるんだってば。誰彼かまわずじゃないもん」

「そ〜かなぁ〜?」
「あ、何だよその目。信用してないんだ、俺のこと」

「心配してるだけ! だって、みすみす傷つくの見てられないもん」
「そう…かなぁ…?」


結局、利央に相談しても答えが出せないまま、話は終わってしまった。

3日はあっという間に経ち、慎吾さんと会う日になったのに…まだどうしたらいいのか分かってない。

信じたいけど、信じるのが怖い気もする。
利央の言う通りになるかもしれない、でも ならないかもしれない。

少し先でもいいから、未来が見えたらいいのに…なんて思いながら、慎吾さんが待つ約束の場所へと向かう事にした。



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